どんな人？
- 志村喬は、1934年に新興キネマ京都撮影所へ入社し、映画『恋愛街一丁目』でデビューした俳優である。
- 黒澤明監督作に多数出演したことで知られており、1948年公開の『酔いどれ天使』からは三船敏郎とともに同監督作品の看板俳優となった。1952年に公開された主演作『生きる』ではベルリン映画祭のセルズニック金賞を受賞。
- 1982年、慢性肺気腫による肺性心でこの世を去った。
生い立ち
裕福な家庭に生まれ育つ
志村の父親は冶金技師として明治〜大正時代にかけて生野鉱山に勤務していたため、その暮らしぶりは裕福で、女中を雇う余裕もあったという。[出典1]
学生時代
志村は生野小学校卒業後の1917年、神戸第一中学校に入学。
しかし病のためにやむなく宮崎県立延岡中学校へ転校している。
その後、関西大学予科に入学した志村は、2年生の時に父の事業失敗したことで専門部に転部し、働きながら学業を行っていた。[出典2]
芸能活動
デビューまで
かねてより演劇活動を行っていた志村は、1934年に新興キネマ京都撮影所へ入社。[出典3]
同年出演した『恋愛街一丁目』が志村のデビュー作となった。[出典4]
その後、1937年に日活へ移籍してからは時代劇の脇役として認められ、1943年には東宝へ入社。
ここで志村は黒澤明監督との出会いを果たしている。[出典3]
黒澤明監督とのタッグ
志村は、黒澤明監督の撮影した全30作品のうち、なんと21本もの映画に出演。[出典4]
1943年公開の映画『姿三四郎』から始まり、『わが青春に悔なし』(1946年)、『野良犬』(1949年)、『羅生門』(1950年)、『七人の侍』(1954年)など、複数の名作に華を添えている。[出典3]
また1948年公開の『酔いどれ天使』からは三船敏郎と共に同監督作品の看板俳優となった。[出典4]
名作 『生きる』での逸話
黒澤明監督と手を組んだ作品の中でも鮮烈な印象を放つのが、1952年に公開された主演作『生きる』。
本作のクランクイン間近に盲腸の手術を受けたため、頬骨が浮き上がるまで痩せこけていた志村に対し、監督はその”やつれ”を演技に活かすよう求めたという。
その甲斐あってか1961年、志村はベルリン映画祭でセルズニック金賞を受賞した。[出典3]
テレビドラマへ進出
1965年以降、活躍の場をテレビに移した志村は、向田邦子脚本のテレビドラマ『冬の運動会』(日本テレビ系)や『あ・うん』(NHK)などに出演。
1981年に向田が事故死を遂げた際、志村は妻に対して「これでもう、テレビの仕事はこないな」と漏らしたという。[出典3]
『生誕110年 映画俳優 志村喬』展
2015年8月18日から12月23日まで、『生誕110年 映画俳優 志村喬』展が東京・国立近代美術館フィルムセンターで開催された。[出典5]
本展示会では妻・政子さんからフィルムセンターへ寄贈された志村の旧蔵コレクションを本格的に公開。[出典6]
また出演した15作品のフィルム上映にあわせて当時志村が使用していた台本や、衣装などといった貴重な資料が多数展示された。[出典5]
私生活
死去
1982年2月11日、志村は慢性肺気腫による肺性心のためこの世を去った。[出典3]