2020年8月30日更新
どんな人?
- 福本清三は俳優。1959年に東映京都撮影所に入社。「斬られ役・殺され役」として約50年以上のキャリアを持つ。「5万回斬られた男」の異名を持ち、「先生」と呼ばれている。
- 2002年、ハリウッド映画『ラストサムライ』に出演し寡黙なサムライ役を演じた。2003年に東映を定年退職後もNHK大河ドラマや『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)などのオファーを受け、出演している。
- 2014年公開の映画『太秦ライムライト』で初主演。同作品は「第18回ファンタジア国際映画祭」で日本人初の主演男優賞した。
芸能活動
“5万回斬られた男”
福本清三は1958年に15歳で東映京都撮影所に入所して以来「斬られ役」として、55年を超える役者人生を送ってきた。
これまでに出演した作品は多数。主な出演作は、『水戸黄門』(TBS系)『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)など。また、2003年にはハリウッド映画『ラストサムライ』に出演した。
2004年日本アカデミー賞協会特別賞。
“5万回斬られた男”という異名を持っている。[出典1]
主演男優賞を受賞
福本清三は2014年公開の映画『太秦ライムライト』で55年の役者人生で初めて主演を務めた。
同作は2014年7月にカナダのモントリオールで開催された第18回ファンタジア国際映画祭へ出品され、福本が「最優秀主演男優賞」を受賞。また、作品は映画賞の最優秀作品賞「シュバル・ノワール賞」を受賞した。同映画祭で日本人が主演男優賞を受賞するのは初めての快挙。
福本は71歳の受賞で、歴代最年長受賞記録を更新している。
また、「シュバル・ノワール賞」の受賞も日本映画史上初だった。[出典2]
受賞に際して福本は、
「このたびの『最優秀作品賞』の評価は、苦労をかけたスタッフ全員の熱意と努力の賜物(たまもの)です。そんな仲間たちに支えられて撮影をまっとうすることができたに過ぎないわたしが『主演男優賞』とは信じられません」[出典2]
と述べ、
「ご選考くださった方々には失礼な話ですが、何かの間違いのように思われ、落ち着かない気持ちでいっぱいです」[出典2]
と率直な気持ちを明かした。
そして最後には、
「これも出演者全員でいただいたものと受け止めております。唯々、『感謝』の一言しかございません。ありがとうございます」[出典2]
とお礼の気持ちを述べている。
また、メガホンを握った落合監督は
「50年以上、斬られることで、他の主役を引き立たせてきた福本さんが、海外の映画祭で主演男優賞を受賞されたということは、『どこかで誰かが見ていてくれる』というこの作品のテーマそのものではないでしょうか!本当にうれしいです」[出典2]
と喜びの気持ちをコメントした。
『太秦ライムライト』
福本清三が初主演を務めた『太秦ライムライト』は、「年老いて引退をしつつある斬られ役」を主人公にした作品。福本にとっては、疑似自伝的な映画である。
劇中で福本が演じる主人公の斬られ役は、山本千尋演じる駆け出しの女優と親しくなる。斬られ役は女優に殺陣を教え、女優は時代劇映画のスターになることを夢見るというストーリー。[出典3]
福本は同作の出演について、「最初はそんなの無理って、そんなアホなことできませんよって伝えましたよ」と、最初は断ったと明かしている。
また、これまでは「斬られ役」が多く、セリフが少ない役が多かったといい、「途中でセリフが飛んでね。共演者にもえらい迷惑をかけました」とも明かした。[出典3]
「斬られ役」は自分で学ぶ
福本清三は東映京都撮影所に入所して最初の頃は通行人や死体の役ばかりしていたという。
その頃先輩から言われたことは、
「斬り方は教えられるけど、斬られ方は教えられん。お前だけの斬られ方があってええ」[出典1]
と言われたといい、福本は、「絵になる斬られ方をメチャメチャ研究した」といい、斬られるときは
「頭を打つくらい思いきり倒れ、灯籠にも突っ込む」[出典1]
「痛みを感じるくらいに倒れなあかん」[出典1]
と語り、今でも生傷が絶えないという。
いくつもの斬られ方を研究
福本清三はまだ斬られ役を始めたばかりの頃、チャーリー・チャップリンが転ぶ様子を研究し、自身の演技に役立てたという。
その後、斬られ役としてキャリアを重ねる中で、さまざまな斬られ方を発見。
福本は、目を回しながら斬られたり、膝から倒れ込んで静かに斬られたり、傷口から血を吹き出しながら金切り声を上げて叫んだり、様々な斬られ役を演じている。
中でも「エビぞり」は完璧な演技方法だという。「エビぞり」では、カメラは主役の動きに焦点を合わせたままで、斬られ役も倒れながらカメラや観客の方に向かって背中をそらすことで顔が映るからだと明かした。[出典3]
「斬られ方」への持論
福本清三は、「痛いのを怖がっていたら斬られ役はできません。」と語る。
殺陣の練習は木刀で、撮影時は日本刀のレプリカが使われるというが木刀もレプリカも当たれば痛いという。しかし、痛いなどと考えていては良い斬られ方はできないといい、大切なのは「適切なリズムで動くこと」。殺陣のシーンでは1つのテンポに固執せず、素早いひと振りや立ち回りの間の短い「間」などを組み合わせ、最後のとどめとなる強い一撃で構成されるべきだという。[出典3]