どんな人?
- 宍戸錠は1955年に映画『警察日記』でデビューした俳優。日活スターのひとりに数えられ、”エースのジョー”として親しまれる。最近は映画やドラマでの活動だけでなく、バラエティ番組などでも幅広く活躍。
- 実弟は悪役俳優として知られる郷鍈治。長男の宍戸開も俳優として活動している。
- 2013年2月4日に自宅が火災で全焼し、話題となった。
生い立ち
裕福な家庭に生まれ育つ
宍戸は自身の幼少期を振り返り、以下のように語っている。
うちの母親はすごく映画好きでね、この子は役者になるに違いないと思っていたみたいだよ。
母が『カチューシャの唄』なんかを観てる頃、僕は母のお腹の中にいたから、お腹の中から一緒に映画を観ていたんだ。
父親が満州事変で当てたおかげで、うちは結構金持ちだったから、子供の頃は友達とうちでよく映画ごっこもやってたんだよ。[出典1]
父親の事業が成功したために裕福な生活が出来たという宍戸は、
実際に1500坪くらいある庭と、75坪くらいある平屋に住んでいたんだ。
当時、そこには竹やぶや池、小さな島、檜(ひのき)、そしてその檜の横から富士山も見えていて、映画の真似ごとをするには最適だったんだよ。
(中略)それに靴下が破けていたりすると、(機嫌を損ねて)学校に行かないほどの偉そうなガキだったんだ(笑)!
と、わがままいっぱいに育ったことを明かしている。[出典2]
宮城に疎開
大豪邸に暮らしていた宍戸だったが、小学生の時に東京大空襲で自宅が全焼し、宮城県白石市へ疎開することに。
そこには映画館が2つあり、タダで入る方法をすぐに覚えたという。[出典2]
一時はいじめられっこに
宍戸は高校2年生まで身長が152cmしかなかったため、それを理由にいじめられたことがあったという。
だが、高校3年生になると一気に背が伸びて175〜6cmに。それからはいじめられるどころか、逆に喧嘩が強くなっていたそうだ。[出典2]
芸能活動
日活撮影所入り
宍戸は1954年に大学を中退し[出典1]、日活ニューフェイス第1期生として日活撮影所に入所。[出典2]
翌年には『警察日記』に出演、若い警官役で銀幕デビューを果たした。[出典3]
当時1年で10本以上の映画に出演していた宍戸は、多忙を極めて休む暇もなかったのではと訊かれると、
ニューフェイス3期生の二谷英明を誘って女の子たちと遊びに行ったりしてたよ。
旭(小林旭)はルリ子(浅丘ルリ子)とデキてたから、あいつらとは遊ばなかったんだ。[出典1]
と振り返っている。
まさかの整形手術
1956年、美容整形の新聞広告を目にした宍戸は頬にシリコンを注入しようと病院へ。
医師は「そのままで通用しますよ」と反対したそうだが、「失敗したら失敗した顔でやりゃいい」という覚悟を決めていた宍戸は施術を受けた。[出典3]
その結果、宍戸は悪役俳優としての地位を確立。そのことについては、
あの頃は、アメリカの俳優リチャード・ウィドマーク(映画『死の接吻』や『暗黒の恐怖』)が、悪役でもスターになれると証明してくれていたんだ。
実際には映画『第三の男』のオーソン・ウェルズを観て、その頃から悪役について考えるようになったんだ。
もちろん、(シリコンを入れた豊頬手術で)醜くなっちゃうなーという気持ちはあったけれど、僕の責任でやっているわけで、誰にも迷惑を掛けているわけではないと思って仕事をしていたんだよ。
と説明している。[出典2]
“エースのジョー”のわけは
宍戸は自身の愛称「エースのジョー」の由来を以下のように明かしている。
ただ単にカードが好きだったから(笑)。
(ジョニー・)ワイズミュラーの体を見てボディ・ビルを始めたりして、早撃ちは日本ではゲイリー・クーパー、アラン・ラッド、次がジョー・シシドかな(笑)。僕は何やっても3番目なんだよね。裕次郎(石原裕次郎)、旭(小林旭)、錠とかね。[出典4]
バラエティ番組に進出
映画業界が下火になると、映画に固執することなく、宍戸は活躍の場をテレビに移行した。
ドラマで主役を演じるほか、『ゲバゲバ90分!』(日本テレビ系)などのバラエティ番組でコメディアンとしての才能を発揮し、レギュラー番組7本を持つ売れっ子スターになった。
かつて日活時代をともにした俳優仲間には、バラエティは色モノと敬遠する人もいるというが、宍戸は「俳優なんだから、なんでもできなきゃ自分が気にするほど、視聴者はそんなにイメージを気にしていない。俺なんか、かえって“おいしい話”と利用する」と語っている。[出典5]
私生活
弟、息子はそれぞれ俳優
宍戸の実弟は、肺がんのため1992年9月11日にこの世を去った俳優の郷鍈治(享年55歳)。[出典6]
また息子の宍戸開も同じく俳優をしている。[出典7]
心不全で手術
2006年、宍戸は虚血性心不全と診断され、冠状動脈カテーテル・バルーン手術を受けていた。[出典2]