どんな人?
- 小林桂樹は、1942年に公開された映画『微笑の国』でデビューした俳優である。喜劇『社長』シリーズでは、俳優の森繁久弥や三木のり平、加東大介らとともに中心的存在となった。
- 1958年に公開された映画『裸の大将』にて実在の画家、山下清を演じたことで知られている。
- 2010年9月16日、心不全のため86歳でこの世を去った。
生い立ち
夢は映画批評家だった
学生時代は朝日新聞社でアルバイトをし、当時は映画批評家を志していた。[出典1]
芸能活動
俳優として
1941年、日活に入社すると翌年には映画『微笑みの国』で俳優デビューを果たした。
以降は大映に移籍したが応召され、復員後は東宝の映画『ホープさん』にぬぼーっとしたサラリーマン役で出演し、そのまま東宝に所属した。[出典1]
喜劇『社長』シリーズ
1950〜70年にかけて制作された喜劇『社長シリーズ』では、人相がよくまじめだが、どこかマヌケで愛されるキャラクターが人気を集め、俳優の森繁久弥や三木のり平、加東大介らと共に中心的存在となった。[出典1]
巨匠作品に出演
喜劇『社長』シリーズでみられるようなユーモラスな役柄を務める一方、小林は小津安二郎監督や黒沢明監督、成瀬巳喜男監督といった巨匠の作品にも重宝された。[出典1]
難しい役どころにも挑戦
喜劇『社長』シリーズのヒットにより、サラリーマン役のイメージが定着した小林だが、その演技はコミカルからシリアスまで幅広い。1958年に公開された映画『裸の大将』では実在の画家・山下清に扮し、1961年公開の『名もなく貧しく美しく』では聾者に。
そのほか『けものみち』(1965年)では悪徳刑事、『日本沈没』(1973年)では科学者、『連合艦隊』(1981年)では山本五十六司令長官を演じ、ジャンルを問わない活躍を見せた。[出典1]
テレビ界に進出
1970年代からはテレビ界に進出。
連続ドラマ『赤ひげ』(NHK)のほか、サスペンスドラマ『弁護士 朝日岳之助』シリーズ(テレビ朝日系)や『牟田刑事官ファイル』シリーズ(テレビ朝日系)などに出演した。[出典1]
受賞歴
小林の俳優としての受賞歴は以下。[出典2]
キネマ旬報男優賞
ブルーリボン大衆賞 ## 1962年 サンケイ新聞シルバースター賞助演男優賞 ## 1963年 第18回 毎日映画コンクール主演男優賞 ## 1964年 第15回 ブルーリボン賞主演男優賞 ## 1968年 ミリオンパール主演男優賞 ## 1985年 紫綬褒章 ## 1987年 放送文化賞 ## 1994年 勲四等旭日小綬章 ## 1995年 橋田寿賀子賞
私生活
死去
2010年7月、軽い肺炎のために入院して以降、闘病生活を送っていた小林。
同年9月16日には心不全のため86歳でこの世を去った。[出典1]
生前の様子
小林の生前について、女優の司葉子は、
東宝の先輩として頼りになる存在でした。マジメな秘書が当たり役でしたが、ご本人の性格そのまんまのようでした。
俳優としてはとても器用な方でしたが、小津先生の「小早川家の秋」の時の大阪弁だけは随分苦労なさっていました。
その様子が懐かしく思い出されます。
と振り返る。同じく女優の草笛光子は、
「桂ちゃん、桂ちゃん」と呼ばれ、みんなから慕われていました。役者の教科書のような方でした
こまやかで人間観察力が鋭くて、それを柔らかい真綿に包んで表現されていました。
本音で何でも言ってくれる先輩で、私にとってとても大事な人でした。
と別れを惜しんでいた。[出典1]