2016年7月20日更新
どんな人？
- 佐分利信は、北海道出身の俳優である。俳優の上原謙、佐野周二と「松竹三羽烏」を結成し、3人で主演した映画『婚約三羽烏』が大ヒット。1975年には映画『化石』でキネマ旬報主演男優賞や毎日映画コンクール主演男優賞、紫綬褒章を受章した。
- 1950年、芸研プロに所属。同年公開の映画『女性対男性』にて監督デビューを果たして以来14もの作品を残している。
- 1982年肝臓がんのため入院。治療を拒否し、同年9月22日にこの世を去った。
生い立ち
監督志望だった
北海道空知郡歌志内村の炭鉱夫の家に生まれた佐分利は、1923年に中学教師になるため上京。
肉体労働などで生活費を稼ぎつつ夜間学校に通うも、卒業することなく、故郷に戻って小学校の代用教員に。
その後は神戸にて婦人新聞の発行を計画したが失敗に終わった。
2度目の上京の折、映画関係の職に就こうと思い立つと、1929年には日本映画俳優学校に入学。映画監督を志した。[出典1]
芸能活動
デビュー後
1930年、日活に入社。翌年には島津元の芸名で『日本嬢』に出演し、俳優デビュー。
続く『動員令』では主演に抜擢され注目を浴びる。このことについて佐分利はのちに、
僕は芝居に乗らない気持ちで出てるだけ。それが自然な演技が要求される映画だから、それなりに行けた
と振り返っている。
日活退社後は松竹蒲田に入社すると芸名を佐分利信に改める。これは駐華公使で怪死した佐分利貞夫と画家の佐分信に由来するという。
1936年には『新道・前後篇』にて俳優の上原謙、佐野周二と「松竹三羽烏」を結成し、翌年3人で主演した『婚約三羽烏』が大ヒットする。[出典1]
その後の出演
1939年公開の『兄とその妹』では真面目なサラリーマンを演じて高評価を獲得。
その後に出演した『暖流』や『戸田家の兄妹』は佐分利の代表作となった。
戦後は『誘惑』、『嫉妬』にて好演を披露。
小津安二郎監督作『帰郷』や『お茶漬けの味』で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞した。
1974年公開の山本薩夫監督の大作『華麗なる一族』には阪神銀行・万俵頭取役として主演し、大ヒット。
1975年には『化石』でキネマ旬報主演男優賞や毎日映画コンクール主演男優賞、紫綬褒章を受章した。
1977年からは東映の大作『日本の首領』3部作に主演した。[出典1]
テレビ界へ
1961年からはテレビ界へ進出。
1972年1月から3月にかけて放送された小林正樹監督の連続テレビドラマ『化石』(フジテレビ系)ではがんに侵された主人公を熱演し、好評を博した。[出典1]
監督として
1950年、芸研プロに所属。同年公開の映画『女性対男性』にて監督デビューを果たし、以来日本映画の黄金期である1950年代に14本もの作品を残している。
しかし、現在観ることができる作品は3分の2程度と言われ、キネマ旬報のベストテンに選ばれている監督第2作目の『執行猶予』もプリントが現存していないという。[出典2]
私生活
結婚
1932年、映画『さらば東京』で共演した黒木しのぶと同棲期間を経て結婚。夫人は1964年、肝臓がんのためこの世を去った。
佐分利は仕事の日は必ず玄関先で握手を交わしてから出かけるようにしていたなど、大変な愛妻家として知られ、[出典1]夫人が荼毘に付した際には遺体から離れず、俳優を辞めるとまで言って慟哭したらしい。[出典3]
死去
1982年9月3日、体調不良のため板橋区の日大板橋病院に入院。
病名は妻と同じ肝臓がんで、すでに手術不可能の状態にあり、医師からは胸に穴をあけて高カロリー液を注入する治療を勧められるも拒否し、同年9月22日に亡くなった。享年73歳。[出典1]