園子温が新作発表!自主制作映画『ひそひそ星』とは?
映画監督・園子温が今年新作を発表した。自主制作映画として撮影された新作には園子温の原点となる思いが込められ、作品を見た著名人からは称賛のコメントが寄せられている。
2023年3月28日更新
新作『ひそひそ星』
https://twitter.com/hisohiso_ikimon/status/712114444784930816
『ヒミズ』や『愛のむきだし』などの作品で知られる映画監督・園子温。監督・脚本・製作を全て務める最新作は未来の宇宙が舞台だ。
度重なる大災害や大失敗によって人間は著しく数を減らし、もはや滅びゆく種族となっている。主人公の鈴木洋子(神楽坂恵)はそんな人間たちに配達物を届けるアンドロイドで、配達の中、30デシベル以上の音を立てると人間が死ぬかもしれないという「ひそひそ星」にたどり着く。
東日本大震災の被災地、福島県の富岡町・南相馬市・浪江町でロケを行い、映像は全編モノクロームという珍しい作品だ。[出典1]
構想実に25年
この新作『ひそひそ星』は、実は園子温が25年前に書き上げた脚本に基づいている。
当時の園はこの作品で商業監督デビューを果たそうと目論んでいたが、うまくはいかなかったらしい。[出典2]
地味であまりにも変わった内容なので、映画会社で作れる内容ではなかった。だったら自分の力で金を集めてやろうと思ったがうまくいかなかった[出典2]
画コンテを書き上げてから25年の時が経っているが、やはりこの『ひそひそ星』は自主制作映画として撮影されており、その理由を園は
商業映画として撮るには、特に困難な映画だったから。[出典3]
と説明している。[出典3]
また、書き上げた画コンテは引き出しに眠ったままになっており、園の妻で今回主演を務めた神楽坂恵は、
引っ越しなどをする度に、段ボールのコンテの量がハンパなくて、いつ撮るんだろうと思っていた[出典2]
とのことだ。[出典2]
「初恋の人の思い出のようなもの」
この新作について園子温は
それは初恋の人の思い出みたいなもの。もう1回会いたいかと言えばどうなのかと。僕にとって『ひそひそ星』はジョーカーというか、最後の切り札みたいなもので。作らないことでモチベーションを保っていた。[出典3]
とコメントし、さらにこの作品を撮ったことについては
これで、ネクストステージに入った。日本で撮るものについては、慎重に撮っていきたい。そして、次は海外で撮りたい。その理由は、制作費が違うから[出典3]
と語り、今後の展望としている。[出典3]
夫婦で作り上げた作品
この新作『ひそひそ星』では、園子温の妻である女優・神楽坂恵が主演を務めた。さらに神楽坂は本名の「園いづみ」でプロデューサーも兼任しており、
プロデューサーとして大きな仕事はしていませんが、監督の思いも聞いて女優としては見ない大変さなど勉強になりました。主人公は私じゃないと思っていたので、光栄でした[出典2]
と語っている。[出典2]
また、この新作は園子温自身が立ち上げた映像制作会社「シオン・プロダクション」の第一回作品ということもあり、夫婦にとって大切な作品になったと言えるだろう。[出典2]
各方面から称賛のコメントが
新作の発表にあたり、各方面の著名人から称賛のコメントが寄せられている。[出典4]
映画監督の岩井俊二は
アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、
そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。
五感に染み渡る美しく残酷な映画だ。[出典4]
とコメントし、俳優の斎藤工は
劇場で体感すべき凄まじい作品[出典4]
と称賛。また詩人の谷川俊太郎は
二十億光年の孤独にアンドロイドもくしゃみをする[出典4]
と、映画の内容と自身の詩をかけたコメントを寄せた。[出典4]