新海誠最後の自主制作アニメ『ほしのこえ』
儚くも、眩しい物語『ほしのこえ』。『君の名は。』の新海誠監督最後の自主制作アニメ『ほしのこえ』の情報をまとめてみた。
2023年3月31日更新
『ほしのこえ』ってどんな作品?
『ほしのこえ』は、新海誠の自主制作アニメ。同じく自主制作の『彼女と彼女の猫』とは異なり、フルカラー作品となっている。[出典1]
2002年2月に下北沢トリウッドにて公開され、当時普及し始めていた携帯メールをモチーフに、宇宙と地上にわかたれた少年少女の超遠距離恋愛を描いたSFロボットアニメ作品だ。
個人制作ということもあり、大きな話題を呼んだ。[出典2]
あらすじ
▼ 新海誠公式サイトより引用
2039年、火星に向かった有人探査チームはタルシス台地のクレーター中に異文明の遺跡を発見するが、突如出現した異生命体に全滅させられてしまう。が、一方でその遺跡から発見された数々のテクノロジーにより、人類の科学水準は一気に半世紀以上の飛躍を遂げる。さらに、太陽系外縁には異生命体(タルシス台地にちなんで「タルシアン」と呼称される)の遺跡と推測されるワープポイント、通称ショートカット・アンカーが発見され、人類は恒星間航行への手段も手に入れることとなった。
その後、いずこかへ去ったタルシアン調査のために国連宇宙軍戦艦リシテア、レダ、ヒマリア、エララの4隻が建造され、2047年には1000名以上の選抜メンバーによる調査団が組織される。
関東某県の中学に通う長峰美加子と寺尾昇は同級生。同じ部活で仲の良いふたりだが、中学3年の夏、ミカコは国連軍の選抜メンバーに選ばれたことをノボルに告げる。翌年2047年冬、ミカコは地球を後にし、ノボルは高校に進学する。
地上と宇宙に離れたミカコとノボルは携帯メールで連絡をとりあうが、リシテア号が木星・エウロパ基地を経由して更に太陽系の深淵に向かうにつれて、メールの電波の往復にかかる時間は開いていく。ノボルはミカコからのメールだけを心待ちにしている自身に苛立ちつつも、日常生活を送っていく。やがてリシテア艦隊はワープを行い、ミカコとノボルの時間のズレは決定的なものへとなっていく……[出典2]
キャスト
個人制作ということもあり、当初は新海誠自身が声をあてていた。[出典3]
▼ 当初のキャスト
ノボル/新海誠
ミカコ/篠原美香[出典3]
しかし、のちに声優によって吹き替えられている。[出典3]
▼ 声優版のキャスト
ノボル/鈴木千尋
ミカコ/武藤寿美[出典3]
背景
この映画『ほしのこえ』は、未来を描いていながらも、当時の時代背景に合致した作品であったようだ。[出典2]
▼ 新海誠公式ホームページより抜粋
この作品を制作していた2001年前後というのはインターネットが急速に一般化しつつあった時代であり、コンピュータとそのソフトウェアが年々高機能化・低価格化していった時代でもあります。そういう状況を背景に「何か新しい作られ方・流通の仕方・観られ方」をするような作品を人々は無意識に求めていたのかもしれず、そして「ほしのこえ」はたまたま、パズルのピースのようにあの時代のくぼみにはまった作品の一つであったのだろうと今では思います。[出典2]
「一人で作った」という話題性のみならず、こうした時代性の合致が多くの人気を集めた理由のひとつと言えるだろう。[出典2]
評価
個人制作のアニメとしては異例の受賞歴を誇り、新海誠の名前が世に出るきっかけとなった。[出典1]
▼ 受賞歴
* 第1回新世紀東京国際アニメフェア21
* 第7回アニメーション神戸
* 第6回文化庁メディア芸術祭
* 第8回AMD AWARD
* デジタルコンテンツグランプリ2002受賞作品